(2)「えさし藤原の郷」開演から学ぶ
1)思い違い
平成5年(1993)に「えさし藤原の郷」が開園した。全国に珍しい平安期のテーマパークであるとともに、NHK大河ドラマ「炎立つ」のメインロケ地を目的として建設されている。開園までの様々な苦労は酒匂俊明(さかわとしあき)著「炎のメモリアル」(1993.5:(株)ぎょうせい)に詳しい。
大河ドラマの影響もあって開園と同時に年間50万人を超える観光客がこの地を訪れるようになる。この時に商店街の人たちは町中にも人が訪れるだろうと期待していた。「えさし藤原の郷」と町までは1kmと離れていなかったからだ。しかし、見事に裏切られ、皆無と言って良かった。
観光客は多くが団体客で、見学が終われば花巻温泉に一泊し宴会するコースが設定されていた。しかしこのコースには町中見学は含まれていなかった。「えさし藤原の郷」に花巻温泉を経営する国際興業が出資しているからではなかった。ここで初めて町中に魅力がなかったこと、商店街が誘客のための努力を怠ってきたことに気付き始める。その反省から一部の若者を中心に町中点検が行われた。この結果土蔵が多いことに気付くことになる。
写真3-1江刺の町並み(平成4~5年頃)
写真奥の小高い丘(左側)が岩谷堂城趾。