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Channel: 風景のデザインブックⅡ
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江刺のまちづくり(7)

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(3)まちづくり団体の動き
 昭和の末から平成9年までの間に、まちづくり団体がいくつかできてきて活動を開始している。この中から(株)黒船(以後黒船)に関わって行く団体を簡単に紹介する。
1)まちづくり研究会
 民間の任意団体。活動期間は昭和63年から平成2年(1988~1990)。江刺のまちづくり全体を考える目的で活動した。会員に青年会議所会員(JC)が多くいたことから、若者にまちづくりの芽を植え付けたと考えている。具体的な活動としては、人首川の河川改修で伐採されようとしていた明治記念館脇のケヤキの保存運動。
 
写真3-2 明治記念館脇のケヤキと人首川
イメージ 1
 
2)梁山泊グループ
 江刺にあった唯一の温泉、大岳温泉を再生し運営したグループ。活動期間は平成元年から平成6年(1989~1994)。後に黒船メンバーとなる4人が参加していて、出資して会社運営していくことを学習している。この温泉を運営する会社は解散したが、建物は現在デイサービス施設となっている。
 写真3-3 現在の大岳施設
イメージ 2
 
3)まちづくりデザイン市民会議
 民間の任意団体で、活動期間は平成7年から9年(1995~1997)。町中点検を行い改めて土蔵の多さに気付いたグループ。この結果から蔵を使ったまちづくりを模索し始める。この会員の多くが、後の黒船メンバーとなっていく。
 
4)NPO法人イーティーシー
 岩手県建築士会江刺支部の有志がまちづくりの勉強会を始め、江刺のまちづくりを模索。活動期間は平成7年(1995)から現在も続いている。現在は黒船のまちづくりを技術面から支援を行うほか、岩手県南地域のまちづくりを支援するコンサル型のNPOとなっている。NPO法人化は平成13年(2001)から。
写真3-4 NPO法人イーティーシー  コミュニティガーデン事業の例
イメージ 3
 
5)まちづくり研究塾
 旧江刺市が「えさし藤原の郷」の運営とロケ対策を行うための組織作りを目的に、市民に呼びかけて結成した団体。市職員、JCメンバー、一般市民が参加し、江刺のまちづくりに知恵を出し合った。この中から一部のJCメンバーが「えさし藤原の郷」の町並み部分で飲食、お土産部門を営業する(株)清衡企画を設立し、現在に至っている。
 
 まちづくりデザイン市民会議は、えさし藤原の郷を訪れた観光客が町に流れてこなかったことから改めて町中点検を行うと、観光客の興味を引くような施設が町中にないことを知る。これでは町中を訪れるひとがいないのは当たり前と反省。ただ土蔵が多く残されているので、土蔵を活用しながら残すまちづくりを模索するようになる。
 黒船設立直前の平成9年(1997)5月初め、第1次まちづくり構想を作成し当時の江刺市長に説明を行う。その内容は現在の蔵町モール付近に土蔵を集積し町中観光の拠点とし、運営を3セクで行うというもの。この会談は話途中で返されることになる。中身が絵空事であること、3セクの運営は無理というのがその理由である。こんな事を考えるより家業を頑張るべきだとの忠告もあった。後日談として市長は課長連中を集め「ああいう輩とは付き合うな」とのお触れを出したとか。以後しばらくは市との関係がギクシャクすることになる。逆に市民会議は市を当てにせず、自分たちの手で自分たちのできる範囲でのまちづくりを目指していくことになる。

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