(2)まちづくり会社黒船の設立へ
平成9年(1997)5月26日、まちづくり会社黒船が設立された。江刺に在住する当時20代から40代の11人が発起人となり、「中心市街地活性化」を目的として設立した。資本金4,600万円。後に2度増資を行い、現在は9,910万円となっている。株主は黒壁や常磐用紙など県外企業3社と地元企業の9社以外は個人で、総株主数は59名である。
黒船設立までの2年間は市民会議として商店街活性化手法の論議を重ねてきたが、最終的に営利法人による活性化に意見を集約した。また、まちづくり会社をつくるべきだという黒壁笹原氏の後押しもあった。
行き着いた結論は以下の3点。
①まちづくりはボランティアでは財政的に将来行き詰まるので、ビジネスとして有益をあげ、その財源を次の社会整備と会社運営に充てること。
②提言をするが、行政に任せきりにせず実施分野を分け、自らの分野はそれを実行するために自分たちが責任と経済負担を負うこと。
③まちの資源は蔵と商店街の路地、伝統芸能であることから資源を保存し活用すること。
全国的にも衰退する商店街を活性化させた成功事例が少ない中で、彼ら自身、黒船の出船は難しい事業であり経営が安泰と言いがたいことは自覚していた。ただ、コミュニティビジネスによって活性化を進めたいという思いが強かった。